お店のこだわり

生地にこだわる

小麦粉を練ったものをイタリアではパスタと呼びます。

日本で馴染みの深いスパゲッティもペンネやリガトーニもみんなパスタなんです。

太さや長さ、その形状によって様々な個々の名前があります。


ですので、ピザ生地もパスタと呼ばれます。


ファロ ピッコリーノでは、ピザ生地はもちろん、スパゲッティも自家製です。

それはその風味であったり、食感にこだわりたいからです。


そもそも、ピザやスパゲッティはその生地(麺)を食するものですので、

ソースや具材は生地を食するバリエーションのためのツールだと思います。


ピザ生地

ファロ ピッコリーノのピッツァのスタイルはナポリスタイルです。


日本のピッツァの主流がこのナポリスタイルと言ってもいいと思います。

簡単にご説明すると、生地の材料は、小麦粉、水、塩、イースト酵母で作られ、

コルニチョーネと呼ばれる耳の部分がふっくらと焼き上がり、モチモチ感の強いピザが

ナポリスタイルの特徴と言っていいと思います。

 

一般的には生地が厚いイメージを持たれがちですが、決してそのようなことはなく、

コルニチョーネ(耳の部分)がふっくらと焼き上がっていることからの錯覚かと思います。

他店に行った際にその部分を残される方が多く見受けられました。

どうしてもそこに生地が詰まりやすく、食べた食感が重いことが食べ残しの理由のようです。

 

同じナポリスタイルのピッツァですが、ファロ ピッコリーノはそのコルニチョーネ(耳の部分)が

サクッと軽い食感の焼き上がりを目指しています。

それは生地の仕込み方に特徴があります。通常の何倍も手間がかかる方法をとって仕込んでいるため

そうして焼き上げることができるのです。

最高の焼き上がりの際には、まるでクロワッサンを食べているかの食感をお楽しみ頂けます。

常にそうした焼き上がりを目指して焼いていても、なかなかそのように焼けないのが奥深さと私の未熟さです。

今後もますます精進して参ります。

パスタ生地

自家製の生パスタをうたうお店が増えてきました。

生パスタ特有のモチモチ感って日本人の好きな食感なんだと思います。

ただ、生パスタでコシのあるものって少ないような気がします。

ファロ ピッコリーノで提供する生パスタはモチモチ感とコシの強いパスタ生地にこだわります。

 

生パスタと言っても多くの種類がございます。

当店では主にスパゲッティ、時々ショートパスタをご用意しております。

いずれもパスタマシンで成形して作ります。

一般的には手で生地を延ばし幅を揃えて裁断するタイプのマシンが多いと思いますが、

そのマシンではスパゲッティは作れません。

スパゲッティを作るには圧力をかけて口金を通して押し出すタイプのマシンが必要になります。

当店で使用しているのはこちらのタイプです。

食後の1杯のコーヒー

いくら食事が美味しくても、いくら楽しい時間をお過ごしいただけても…

食後のコーヒーまで美味しく召し上がっていただきたいとの思いから

そのコーヒー豆とコーヒーマシンにもこだわりました。

 

まだ若いころにコーヒー屋さんと何気なく会話していて気付かされた一言があります。

それは、食後の一杯のコーヒーのためにそのコーヒー屋さんは心血を注がれているとの言葉でした。

それまで私の中では食後のコーヒーは食事のおまけ的なものというくらいの認識でした。

それ以来コーヒーについてより興味を持って学べば学ぶほどコーヒー屋さんが心血注ぐほどの理由が理解できました。コーヒーの産地は比較的貧しい国・地域で、今でこそフェアトレードという考えが根付いてきましたが、一昔前までは先進国(コーヒーの消費国)が貧しい国(生産国)でその国の労働者に安い賃金で働かせ、高く販売する図式が成り立っていたのです。一日クタクタになってまで働いて手にする賃金は日々生活するギリギリの額しかもらえませんでした。そうした環境ではコーヒー豆を取り出す実の熟し具合など関係なく収穫していたそうです。彼らからしたら、安い賃金でよりよいものを飲んでもらおうという意識は芽生えなかったのでしょう。

しかし、昨今ではコーヒーの実の収穫する際に完熟の実のみを手摘みで収穫し、より商品価値を高める動きが高まってきています。いわゆるサードウェーブという流れがもたらした効果と言えると思います。

高品質の商品を作れば高く買い取ってもらえ、自分たちも豊かになる。彼らにこの考えを理解させ行動を変えさせるにはひと方ならないご苦労があったに違いありません。

今ではコーヒーのワイン化という表現もされるほど、コーヒーの樹を育てる土壌や日照、朝晩の気温差を生育に活かす産地まで出てきております。そうして作られたコーヒーは店舗で1杯¥1,000を超える料金でも飲まれるほどです。

 

そうした色々なコーヒーの話を教えてくれたのが、今でもお付き合いがあり、当店のコーヒーを支えてくれる

京都の小川珈琲です。

当店ではエスプレッソ用の豆を使用していますので、比較的苦味の強い味になっています。

 

また、使用するエスプレッソマシンはイタリアのダラコルテ社スーパーミニというコンパクトなマシンです。

ダラコルテ社は2010年より日本バリスタチャンピオンシップの公式マシンとして採用されるほどの高品質なエスプレッソマシンメーカーです。

このマシンで淹れたエスプレッソは砂糖なしでも雑味をあまり感じることなく飲めてしまうほどです。

 

是非こだわりのコーヒー豆を優れもののエスプレッソマシンで淹れたコーヒーをお楽しみください!

 

扉の取っ手

お客様がお店に最初に触れる場所だから、お店の考えを言葉ではなく文字通り肌で感じてもらえる様に木の取っ手にしました。

イメージ通りの木材を探しにいくつもの材木屋さんをめぐりました。

やっと出会えた木材は伐採したままの樹皮をかぶった1本の枝でした。

まさしく唯一無二の枝でした。複雑に曲がった枝を見ながらまずは樹皮をはがし、丁寧にやすりをかけ、どんな角度で触っても

引っかかりがないように。

年輪を数えながらその樹木の育った環境を創造したりもしました。こんな太さでも20年分以上の年輪をみてとることができました。

成長の過程で妨害する何かを避けながら枝を伸ばしていった結果が今の形になっているのだとも。

きっと多くの人の手で触れられることでその苦労も報われるはずだと。

そんなことまで考えている自分はきっとかなりな変わり者なんだと思いました。

 

そしてかなりの時間をかけてすべすべの滑らかな取っ手に生まれ変わり、たっぷりオリーブオイルを浸み込ませました。

そうしてお店の取っ手(お店の顔)としてお客様のご来店をお待ちしているのです。


そして、何よりも大切なのは人

私たちの携わる仕事を何というでしょうか?

昔から引き続き言われる言葉は、飲食業。サービス業。接客業。

少し接客を経験したことのある方が聞いたことがある言葉でいえば、ホスピタリティ産業。

 

いづれにも共通するのは、そこには中心に人がいるということです。

人なくしては成り立たない産業です。

 

人と言ってもお客様、従業員、食材業者さんと様々ですが、そのどこかが欠けても成り立たないのです。

色々なものが機械化され今では車の運転も自動でできる時代になってきました。

しかし、この産業はロボットでは成り立たないのです。

 

ある人に言わせると、無駄が最高の贅沢だ。とも。ここでいう無駄とは、非効率的なことを指すのでしょうが、

特に日本人には昔から相手のことを思いやる心、いたわる心を美徳として参りました。

それがまさしく非効率なことだと思います。

機械にはできない、人だからこそ成し得るサービスを実践していきたいと思います。

 

当店で働くスタッフは学生アルバイトが多いのですが、最初に伝えることがあります。

『どうぞ失敗してください。』但しお客様に迷惑がかからないようにと。

そう言うと、えっ?と驚いた顔をします。

人は誰でも失敗はしたくないはずです。しかし、失敗を経験しないと先の成功にたどり着かないものです。

初めてやった仕事が成功しても次に成功することができるかは分かりませんが、一度失敗して、その原因を理解した人は少なくとも同じ失敗は繰り返さないものです。成功するまでに何度でも失敗をすればするほど、少しづつでも成功に近づいているのです。

 

それと似た内容ですがもう一つ伝えることがあります。

『考えるクセを付けてください』と。

結果を導く過程は何通りもあるはずです。結果が目標で、過程は方法や手順なんです。

結果的にここのやり方でしてもらうことも当然あります。が、最初は何も言いません。最初からここのやり方はこうだと言ってしまえば、考える前に答えを求めるクセを付けてしまうからです。


学生の皆さんはこの道のプロになろうとしてここで働こうとするのではありません。

生活費の足しに、また自分のおこずかいの為に働く人がほとんどです。

それは、将来卒業するときにはみんなそれぞれの進路に巣立つことを意味します。

巣立った時に社会に出て困らない様に対応出来得る人間に育ってほしいからです。

人は財なりと言いますが、そう言われる人として社会の役に立って欲しいものです。